青空文庫をはじめとして、ネット上には無料で楽しめる小説が合法的な形でも多数公開されている。
しかし、それを読むビューアはiPhoneの場合有料アプリが多い。
私はソースが無料であっても、それを読むためのツールは「綺麗な体裁かつ楽な操作性で読める」付加価値の分、対価を支払うのに躊躇いはないが、なるべく節約が必要でできれば無料で読めないか、という人もいるだろう。
そこで、青空文庫を無料で読めるビューアを紹介する。名を "Touch the Sky" プロジェクトという。
iPhoneのネイティブアプリではなく、いわゆるWebアプリである。
といっても侮ってはいけない。ネイティブアプリと同じようにちゃんと画面タッチで操作できるのだ。
このプロジェクトの経緯は、[Touch the Sky] iPhone用青空文庫ビューワのまとめ にまとめられている。
まず、iPhoneのSafariで http://i.yomou.net/ にアクセスする。
するとこんな画面が現れる。
ちゃんと画面上のボタンをタッチして操作可能だ。システムのソフトキーボードを出さなくても、ダウンロードする青空文庫の作品を選択できる。
「か」と「に」を順にタッチするとこうなる。
『蟹工船』をダウンロードしてみた。それらしい扉が自動的に作成される。
画面の左側をタッチすると次のページに進む。
二倍ダーシ(ーー)が切れずに繋がっているところ、読点と鍵括弧の間が詰められているところ、行末がでこぼこしないように揃えられているところに注目してほしい。3年前からこれだけ日本語の組版ルールに沿った版面が作られていたことに驚いた。
ページのボタンをタップすると、ページジャンプのメニューが現れる。
元のトップ画面に戻ると、読んでいた場所が自動的にブックマークとして記憶されているのが分かる。
複数の本を並行して読んでいても、それぞれ前の続きから読むことができる。
トップ画面をすぐに呼び出せるようにするには、Safariで「ホーム画面に追加」を実行すればよい。
名前を付けて保存すると、iPhoneのホーム画面に "Touch the Sky" のアイコンができる。
もちろん、今の目から見ると、Retinaディスプレイに対応していないため文字がやや粗いとか、文字詰めが25文字固定でやや小さめだとか、残念な点はある。
しかし、Touch the Sky は多数の青空文庫作品をネットワーク接続さえあれば整ったレイアウトのもと無料で読むことができる。
青空文庫を無料で読めるリーダーとしては、他に豊平文庫の無料版があるが、作品数に制限がある。
3年も前にこれだけ版下ルールに準拠した組版を実現していたことを考えると、その技術を賞賛せずにはいられない。
ただ、実に惜しいことに、Touch the Sky のiPhoneアプリは作者の何らかの事情で3年も前に凍結されたままだ。
Webアプリのサービスもいつまで継続されるか定かではないが、その志に敬意を払いつつ、利用させてもらおう。
ラベル:touch the sky webアプリ
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